大手へのPR提案力が不足するインフルエンサーマーケティング会社が、
PR会社のメディアネットワークで、
統合PR提案を可能にした、成長戦略型M&A

インフルエンサーマーケ会社の「次の打ち手」を、成長戦略型M&Aで実現した1件。
メール送付からクロージング(SPA締結)まで、ミライアが伴走した全5フェーズの工程をご紹介します。

  • 読了時間約10分
  • 扱う業界広告 / 広告
  • 扱う業種インフルエンサーマーケティング / 広報・PR
  • 組織規模11〜50人
  • 最終更新2026年7月

ミライアは「成長戦略型M&A」を軸に、売り手・買い手それぞれの”事業の続き”を、一緒に描いていく仕事をしています。本記事では、インフルエンサーマーケティングとPRという、「企業のメッセージを世の中に届ける」という共通軸を持ちながらも異なるケイパビリティを持つ企業同士の株式譲渡を、ミライアのフローに沿って紐解きます。初回接触から成約までのプロセスを、各フェーズで実際に何を進めたのかを、モデルケースを通してご紹介します。

ミライアの強みは、4つに絞った対応領域への深い業界理解です。両者を組み合わせた時に”何が伸びるか”を、シナジー仮説として一緒に立てる。その仮説を軸に、候補のご提案から条件交渉までを、一貫してまとめていきます。

この記事のおすすめ読者

  • インフルエンサーマーケティング事業の大手企業展開や提案力強化を模索している経営者の方
  • M&AによってSNS領域を強化し、統合PR支援をワンストップで提供したい企業の経営層の方
  • インフルエンサーネットワークとメディアネットワークという異なるケイパビリティが、M&Aでどう統合されるかを知りたい方

ケース概要

本ケースは、多数のインフルエンサーとのネットワークを持ちSNSマーケティングを得意とする専門会社と、大手企業を中心に広報・PR戦略を支援する中堅PR会社による株式譲渡の事例です。SNSの実行力は高いながらも大手企業向けのPR提案力が不足していた売り手側と、豊富なメディアネットワークを持ちながらもSNS領域の強化が課題だった買い手側——両社の課題が鏡合わせのように補完し合う形で、今回のM&Aは実現しました。

クライアント概要(架空・モデルケース)


譲渡企業(売り手)

  • 株式会社A / 従業員約20名 / インフルエンサーマーケティング事業を運営。
  • 各SNSプラットフォームに対応したインフルエンサーキャスティング・施策設計・効果測定を法人向けに提供。

譲渡企業(売り手)課題感

  • インフルエンサーネットワークの規模と施策の実行力は高く、中小・ベンチャー企業からの評価も高い
  • 大手企業への提案では、PR戦略全体を俯瞰した提案力が求められるが、社内にそのノウハウがない
  • PRの文脈でSNSを位置づけられるパートナーと組むことで、大手企業への提案の幅を広げたい

譲受企業(買い手)

  • 株式会社B / 従業員約220名 / 広報・PR支援事業を展開。
  • 大手企業のブランドコミュニケーション・メディアリレーションズ・危機対応PRまで幅広く支援。

譲受企業(買い手)課題感

  • メディア露出の設計やプレスリリース戦略には強みがあるが、SNS・インフルエンサー領域の対応力が不足している
  • 顧客からSNSを活用した認知拡大の相談が増えているが、社内にノウハウがなく対応できていない
  • インフルエンサーマーケティング機能を内製化し、メディアとSNSを統合したPR提案を実現したい

取引形態

  • 株式譲渡(株式会社Aの全株式を株式会社Bが取得)

ミライアの役割

  • 売り手・買い手双方のM&A仲介。初回打診から最終契約まで一貫して伴走。

プロセスの全体像

ミライアは5つのフェーズ群にまとめ、それぞれで何を行うかを設計しています。本ケースでは初回接触から成約まで約6ヶ月のプロセスとなりました。

本件の特徴は、シナジーの即効性が高く、かつ大手企業顧客への横展開が即座に見込めた点です。株式会社BのPR顧客に対してインフルエンサーマーケティングを組み込んだ統合提案ができるようになる——その構想が、両社の対話を加速させる原動力となりました。

Phase 1. 接触・契約フェーズ

売り手・買い手 双方の想いと事業をじっくり伺い、思想の重なりを確認したうえで、アドバイザリー契約を結びます。

株式会社B(買い手)からの依頼
  • 今回のプロセスは、買い手である株式会社B側からのご相談を起点に始まりました。
  • 大手企業向けPR支援で220名規模まで成長してきた株式会社Bは、メディアリレーションズやブランドコミュニケーションに強みを持つ一方で、顧客からSNSを活用した情報発信・認知拡大の相談が増加していました。テレビや雑誌といった従来メディアの影響力が相対的に変化する中で、インフルエンサーを活用したSNS施策を提案できないまま、顧客の期待に応えられないケースが続いていました。「インフルエンサーネットワークとSNSの施策設計ノウハウを持つ会社をM&Aで取り込み、メディアとSNSを統合したPR提案を実現したい」——それが今回の依頼の核心でした。
  • ミライアはこのご相談を受け、候補先の選定に着手。PR・マーケティング領域への深い理解を元に、インフルエンサーネットワークの規模・SNS施策の実績・大手企業案件への対応経験・チームの安定性を軸に複数社をリストアップするなかで、株式会社Aが要件に合致すると判断し、打診へと進みました。
キックオフ・ヒアリング
  • 株式会社A代表との最初の対話は、財務数値の整理よりも前に始めました。「なぜインフルエンサーマーケティングという領域を選んだのか」「SNSを通じて企業と生活者の関係をどう変えたいと思ってきたか」「譲渡後もインフルエンサーとの関係を築き続けたいか」——代表が積み上げてきたネットワークとチームへの敬意を起点に、時間をかけて伺いました。ヒアリングの内容は「成長戦略シート」として整理し、後続のマッチングや条件交渉の場で、立ち戻れる土台として活用しました。
  • 買い手である株式会社B側からは、「大手PR顧客に対してSNS・インフルエンサーを組み込んだ統合提案をそのまま提供できるチームを取り込みたい」というオーダーをすでに受けていました。そのため株式会社A代表のヒアリングでは、フォロワー数やキャスティング実績だけでなく、「このチームがPR戦略の文脈でインフルエンサーを位置づけた提案ができるか」という視点を、最初の仕事と位置づけていました。
  • インフルエンサーマーケティング事業において、キャスティングの量だけでなく、ブランドのトーンや伝えたいメッセージに合ったインフルエンサーを選定し、企業の広報方針と整合した施策を設計できる力そのものが資産になります。売り手・買い手 双方の成長戦略 が重なる部分を見つけることが、このフェーズでのミライアの役割でした。
候補先の選定
  • 成長戦略シートをもとに、株式会社B含めミライアの独自ネットワークから候補先を選定しました。「インフルエンサーマーケティングチームが加わることで、PR顧客に提供できる価値がどう広がるか」というシナジー仮説を軸に、単なる財務的な相性ではなく、支援領域の補完性・顧客層の重なり・コミュニケーション思想の親和性を重視して複数社をご提案。
NDA・アドバイザリー契約の締結
  • 初回面談で代表の意向と方向性を確認したうえで、ミライアとのNDA・アドバイザリー契約を締結。着手金はいただかないまま、ここから本格的な伴走を開始します。

Phase 2. 事前準備フェーズ

売り手側の事業の価値を言語化し、買い手検討に必要な情報を、一緒に整えていきます。

企業価値の算定
  • DCF法・類似企業比較法・直近の取引事例を組み合わせ、株式価値のレンジを算定。インフルエンサーマーケティング事業の評価では、登録インフルエンサー数・ジャンル・フォロワー層の多様性、過去案件の単価・リピート率・対応可能なSNSプラットフォームの幅がキー項目になります。「大手企業向けの提案力が不足していた」という売り手の課題は逆に、買い手のPR顧客基盤に乗ることで大手企業への導入が一気に加速できるシナジーとして評価される要因にもなります。数字の前提はすべて代表と共有し、「買い手がどう見るか」を念頭に置いた価格レンジを共通認識にしました。
IM(インフォメーション・メモランダム)の作成
  • 買い手候補への開示資料(IM)は、ミライアが主導して作成。インフルエンサーネットワークの規模と属性・対応可能なSNSプラットフォーム、過去案件のプロファイルと顧客業種の分布、売上構造とリピート率の推移、リスク要因まで、インフルエンサーマーケティング事業の文脈で読める構成にしました。売り手側の日常業務を止めないよう、ドラフトをこちらから提示し、レビューを重ねる進め方で仕上げました。

Phase 3. 打診・初期検討フェーズ

買い手候補への打診と情報開示を、リスクを抑えながら、一歩ずつ進めます。

NDA・アドバイザリー締結と情報開示
  • 株式会社B側とのNDA(秘密保持契約)・アドバイザリー契約をミライアが締結。その後、IMを段階的に開示しました。インフルエンサーとの契約条件や顧客企業名は特に機密性が高いため、開示範囲と匿名化の判断は、売り手と毎回確認しながら進めました。
関心の確認とフィードバック整理
  • 株式会社B側の初期検討における論点——「インフルエンサーとの契約関係は株式譲渡後も維持されるか」「PR担当者とインフルエンサーマーケターが協働する際の提案プロセスはどう設計するか」「大手企業案件に対応できるインフルエンサーの層は十分に確保されているか」——を整理し、売り手側にフィードバック。双方の温度感を週次で確認しながら、検討の停滞を防ぎました。

Phase 4. 交渉・基本合意フェーズ

トップ面談で互いの意思を確かめ、条件交渉を経て、基本合意(LOI)まで進みます。

トップ面談のセッティングと同席
  • 両社の経営トップによる対面での面談を、ミライアがセッティング。当日はアジェンダを事前に共有し、ミライアも同席しました。価格交渉の前に、「インフルエンサーマーケティング事業が企業と生活者のコミュニケーションに届けてきた価値」と「PR会社が大手企業のブランドに実現したい情報発信の全体像」を語り合う時間を先に設けたことで、両代表の間に共通の文脈が生まれました。
条件交渉と論点整理
  • 株式譲渡特有の論点として、株式の評価額・譲渡対価の支払いスキーム(一括か分割か)に加え、表明保証の範囲、既存の雇用契約の引き継ぎ、インフルエンサーマーケターの待遇水準の維持・代表の処遇と役割の継続——これらをフェーズごとにメモを起こし、両社が”同じ前提で”議論できる場を整えました。
  • インフルエンサーとの個別契約関係の引き継ぎについては、両社が最も法的整理を要した論点でした。インフルエンサーとの契約は属人的な信頼関係に基づくケースも多く、株式譲渡後も関係が継続されるかどうかは、買い手側にとって重要な確認事項でした。代表が主要インフルエンサーとの関係を一定期間維持しながら移行できる体制を設計したことが、この論点の合意をはやめる大きな手応えとなりました。
基本合意書(LOI)のドラフトと中間金
  • 条件がおおむね固まった段階で、ミライアが基本合意書(LOI)のドラフトを作成。独占交渉権が付与され、中間金のお支払いをしていただきました。

Phase 5. 最終合意・クロージングフェーズ

デューデリジェンス(DD)を経て最終契約書(SPA)を締結。引き渡しが完了するまで、隣にいます。

DDの調整と専門家連携
  • 財務・法務・事業の3軸でDDを実施。株式譲渡では法人格ごと引き受けるため、簿外債務・未払い残業代・インフルエンサーとの契約条件・過去案件における景品表示法上の対応状況等、インフルエンサーマーケティング事業特有のリスク確認に特に注力しました。売り手側の顧問税理士・弁護士と、買い手側の専門家チームの間に入り、論点の優先順位と日程を調整。売り手の業務負荷が集中しないよう、資料提供のスケジュールをこちらで設計しました。
SPAの論点整理
  • DD結果をもとに最終契約書(SPA)の論点を整理。表明保証の補償上限と期間、クローバック条項の有無、アーンアウト(業績連動対価)の設計——株式譲渡ならではの条件項目を、双方にとって公平な落としどころに着地させるため、ミライアが両社の間で翻訳役を担いました。
クロージング立会いと引き渡し
  • 最終契約締結・株式の移転・対価の決済を、ミライアが同席のもと完了。引き渡しが完了するまで隣にいる——これが私たちの変わらないスタンスです。その後、スムーズな引き継ぎを経て、株式会社BのPR顧客へのインフルエンサーマーケティングの統合提案が開始。約3ヶ月後には、メディア露出とSNS拡散を一体で設計する統合PR体制での正式稼働が始まりました。

結び

インフルエンサーマーケティング × PRという組み合わせは、「SNSの世界と従来メディアの世界、異なるフィールドの二社」に見えるかもしれません。けれど、両社が共通して向き合っていたのは「企業のメッセージを、信頼できる形で生活者に届けること」でした。メディアを通じた信頼の醸成と、インフルエンサーを通じた共感の拡散——その両方が揃った時に、PRは本当の意味で企業と生活者の距離を縮める力を持ちます。今回のM&Aは、その問いに対する、ひとつの具体的な答えでした。

株式譲渡という形態は、雇用・待遇・雇用契約をそのまま引き継げる一方、法人格ごと移転するため、デューデリジェンスの深度や表明保証の設計が成否を分けます。ミライアはそのプロセス全体を、両社が安心して進められるように設計し、実行していきます。

波江田 茂生

株式会社ミライア代表取締役CEO。 スタートアップ企業にて複数の新規事業の立ち上げ、マーケティング、システム構築などを経験。株式会社マイナビにて、大手企業向けの採用コンサルティングおよびメンバーのマネジメントに従事し、最速で課長に昇進、年間MVPを受賞。その後、株式会社マイナビM&Aの立ち上げ責任者として、2年間で個人売上3億円・メンバー30名規模まで事業を拡大。これらの経験を経て、株式会社ミライアを創業し、代表取締役に就任。

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