ミライアは「成長戦略型M&A」を軸に、売り手・買い手それぞれの”事業の続き”を、一緒に描いていく仕事をしています。本記事では、SEOコンサルティングとコンテンツマーケティングという、「検索と読者に選ばれるコンテンツを作る」という共通軸を持ちながらも異なるケイパビリティを持つ企業同士の株式譲渡を、ミライアのフローに沿って紐解きます。初回接触から成約までのプロセスを、各フェーズで実際に何を進めたのかを、モデルケースを通してご紹介します。
ミライアの強みは、4つに絞った対応領域への深い業界理解です。両者を組み合わせた時に”何が伸びるか”を、シナジー仮説として一緒に立てる。その仮説を軸に、候補のご提案から条件交渉までを、一貫してまとめていきます。
この記事のおすすめ読者
- SEOコンサルティング事業のサービス拡充やコンテンツ制作の内製化を模索している経営者の方
- M&AによってSEOコンサルティング機能を内製化し、コンテンツマーケティング支援をワンストップで提供したいと考えている企業の経営層の方
- SEO戦略とコンテンツ制作という異なるケイパビリティが、M&Aでどう統合されるかを知りたい方
ケース概要
本ケースは、SEO戦略立案やサイト分析に強みを持つコンサルティング会社と、オウンドメディア運営やコンテンツマーケティング支援を幅広く展開するコンテンツ会社による株式譲渡の事例です。SEOの知見は豊富ながらもコンテンツ制作を外部委託しており提案の幅が限定されていた売り手側と、多数の法人顧客基盤を持ちながらもSEOコンサルティング機能の内製化が課題だった買い手側——両社の課題が鏡合わせのように補完し合う形で、今回のM&Aは実現しました。
クライアント概要(架空・モデルケース)
譲渡企業(売り手)
- 株式会社A / 従業員約30名 / SEOコンサルティング事業を運営。
- キーワード戦略・サイト構造分析・内部対策・競合分析などを通じ、多数の検索上位表示実績を持つ。
譲渡企業(売り手)課題感
- SEO戦略の立案とサイト分析の精度には自信があるが、コンテンツ制作を外注に頼っており品質・スピードが安定しない
- 「SEO戦略に基づいたコンテンツもまとめて作ってほしい」という顧客の要望に応えきれていない
- コンテンツ制作力を持つパートナーと組むことで、戦略から実行まで一気通貫の提案ができる体制を作りたい
譲受企業(買い手)
- 株式会社B / 従業員約180名 / コンテンツマーケティング支援事業を展開。
- オウンドメディアの立ち上げ・記事制作・SNS連携・効果測定まで幅広く対応し、多数の法人顧客を支援。
譲受企業(買い手)課題感
- コンテンツ制作の実行力は高いが、SEO観点での戦略立案や技術的な内部対策のノウハウが社内に不足している
- 顧客から「検索流入を増やしたい」という相談が増えているが、SEOコンサルを外部に頼ることで提案の一貫性が保てないケースが出ている
- SEOコンサルティング機能を内製化し、コンテンツ戦略とSEOを一体で提供できる体制を作りたい
取引形態
- 株式譲渡(株式会社Aの全株式を株式会社Bが取得)
ミライアの役割
- 売り手・買い手双方のM&A仲介。初回打診から最終契約まで一貫して伴走。
プロセスの全体像
ミライアは5つのフェーズ群にまとめ、それぞれで何を行うかを設計しています。本ケースでは初回接触から成約まで約6ヶ月のプロセスとなりました。
本件の特徴は、シナジーの方向性が双方向かつ即効性が高かった点です。株式会社BのコンテンツマーケティングにSEO戦略が加わることで検索流入の最大化が実現できる一方、株式会社AのSEOコンサルにコンテンツ制作体制が加わることで提案の幅が一気に広がる——その双方向のシナジーが、6ヶ月という短期間での成約を後押ししました。

Phase 1. 接触・契約フェーズ
売り手・買い手 双方の想いと事業をじっくり伺い、思想の重なりを確認したうえで、アドバイザリー契約を結びます。
株式会社B(買い手)からの依頼
- 今回のプロセスは、買い手である株式会社B側からのご相談を起点に始まりました。
- コンテンツマーケティング支援で180名規模まで成長してきた株式会社Bは、記事制作・オウンドメディア運営の実行力に強みを持つ一方で、顧客からの「検索で上位に出てくるようにしたい」という相談に対して、SEOコンサルを外部に頼ることで一貫した提案ができないケースが続いていました。コンテンツを作ることと、そのコンテンツを検索エンジンに評価させることの両立が、サービスとしての次のステージに必要と判断していました。「SEOコンサルティングの専門チームをM&Aで取り込み、戦略と制作を一体で提供できる体制を作りたい」——それが今回の依頼の核心でした。
- ミライアはこのご相談を受け、候補先の選定に着手。マーケティング・コンテンツ領域への深い理解を元に、SEO戦略の実績・技術的対策のノウハウ・チームの安定性を軸に複数社をリストアップするなかで、株式会社Aが要件に合致すると判断し、打診へと進みました。
キックオフ・ヒアリング
- 株式会社A代表との最初の対話は、財務数値の整理よりも前に始めました。「なぜSEOというテーマに特化しようと思ったのか」「検索上位表示を実現した時に顧客にとって何が変わるのか」「譲渡後もSEOコンサルタントとして現場に関わり続けたいか」——代表が積み上げてきたノウハウとチームへの敬意を起点に、時間をかけて伺いました。ヒアリングの内容は「成長戦略シート」として整理し、後続のマッチングや条件交渉の場で、立ち戻れる土台として活用しました。
- 買い手である株式会社B側からは、「コンテンツマーケティングの顧客に対してSEO戦略をそのまま提供できるチームを取り込みたい」というオーダーをすでに受けていました。そのため株式会社A代表のヒアリングでは、キーワード戦略の精度や技術的対策の実績だけでなく、「このチームがコンテンツの方向性をSEO観点から一緒に設計できるか」という視点を、最初の仕事と位置づけていました。
- SEOコンサルティング事業において、検索順位改善の実績だけでなく、顧客の事業目標から逆算してSEO戦略を設計できる思考力そのものが資産になります。売り手・買い手 双方の成長戦略が重なる部分を見つけることが、このフェーズでのミライアの役割でした。
候補先の選定
- 成長戦略シートをもとに、株式会社B含めミライアの独自ネットワークから候補先を選定しました。「SEOコンサルチームが加わることで、コンテンツマーケティング顧客に提供できる価値がどう広がるか」というシナジー仮説を軸に、単なる財務的な相性ではなく、支援領域の補完性・顧客層の重なり・コンテンツへの向き合い方の親和性を重視して複数社をご提案。
NDA・アドバイザリー契約の締結
- 初回面談で代表の意向と方向性を確認したうえで、ミライアとのNDA・アドバイザリー契約を締結。着手金はいただかないまま、ここから本格的な伴走を開始します。
Phase 2. 事前準備フェーズ
売り手側の事業の価値を言語化し、買い手検討に必要な情報を、一緒に整えていきます。
企業価値の算定
- DCF法・類似企業比較法・直近の取引事例を組み合わせ、株式価値のレンジを算定。SEOコンサルティングモデルの評価では、顧客単価・リピート率・担当コンサルタントあたりの稼働効率・検索上位表示の実績数・対応可能な業種の幅がキー項目になります。「コンテンツ制作を外注しており提案の幅が限定されていた」という売り手の課題は逆に、買い手のコンテンツ制作体制と組み合わせることで提案単価と継続率が大幅に改善できるシナジーとして評価される要因にもなります。数字の前提はすべて代表と共有し、「買い手がどう見るか」を念頭に置いた価格レンジを共通認識にしました。
IM(インフォメーション・メモランダム)の作成
- 買い手候補への開示資料(IM)は、ミライアが主導して作成。コンサルタントのスキル構成と対応可能なSEO領域、過去の支援実績と顧客業種の分布、売上構造とリピート率の推移、リスク要因まで、SEOコンサルティング事業の文脈で読める構成にしました。売り手側の日常業務を止めないよう、ドラフトをこちらから提示し、レビューを重ねる進め方で仕上げました。
Phase 3. 打診・初期検討フェーズ
買い手候補への打診と情報開示を、リスクを抑えながら、一歩ずつ進めます。
NDA・アドバイザリー締結と情報開示
- 株式会社B側とのNDA(秘密保持契約)・アドバイザリー契約をミライアが締結。その後、IMを段階的に開示しました。顧客企業名やSEO施策の詳細は特に機密性が高いため、開示範囲と匿名化の判断は、売り手と毎回確認しながら進めました。
関心の確認とフィードバック整理
- 株式会社B側の初期検討における論点——「SEOコンサルタントの継続意向は買収後も維持されるか」「コンテンツ制作チームとSEOチームがどう協働する体制を作れるか」「既存顧客との契約は株式譲渡後も自動的に引き継げるか」——を整理し、売り手側にフィードバック。双方の温度感を週次で確認しながら、検討の停滞を防ぎました。
Phase 4. 交渉・基本合意フェーズ
トップ面談で互いの意思を確かめ、条件交渉を経て、基本合意(LOI)まで進みます。
トップ面談のセッティングと同席
- 両社の経営トップによる対面での面談を、ミライアがセッティング。当日はアジェンダを事前に共有し、ミライアも同席しました。価格交渉の前に、「SEOコンサルティング事業が顧客の検索流入に届けようとしていた価値」と「コンテンツマーケティング会社が顧客のオウンドメディアに実現したい成果の姿」を語り合う時間を先に設けたことで、両代表の間に共通の文脈が生まれました。
条件交渉と論点整理
- 株式譲渡特有の論点として、株式の評価額・譲渡対価の支払いスキーム(一括か分割か)に加え、表明保証の範囲、既存の雇用契約の引き継ぎ、SEOコンサルタントの待遇水準の維持・代表の処遇と役割の継続——これらをフェーズごとにメモを起こし、両社が”同じ前提で”議論できる場を整えました。
- SEOコンサルタントとコンテンツディレクターの協働体制の設計については、両社が最も具体的な議論を要した論点でした。検索エンジンのアルゴリズムを起点に考えるSEO思考と、読者体験を起点に考えるコンテンツ思考は、時に優先順位が異なります。「どちらを主軸に据えて案件を進めるか」というルール設計を早期に議論したことで、統合後のチーム運営に対する双方の不安を解消し、合意形成をはやめる大きな手応えとなりました。
基本合意書(LOI)のドラフトと中間金
- 条件がおおむね固まった段階で、ミライアが基本合意書(LOI)のドラフトを作成。独占交渉権が付与され、中間金のお支払いをしていただきました。
Phase 5. 最終合意・クロージングフェーズ
デューデリジェンス(DD)を経て最終契約書(SPA)を締結。引き渡しが完了するまで、隣にいます。
DDの調整と専門家連携
- 財務・法務・事業の3軸でDDを実施。株式譲渡では法人格ごと引き受けるため、簿外債務・未払い残業代・進行中の顧客案件の契約条件・過去の支援実績における成果保証の有無等、コンサルティング事業特有のリスク確認に特に注力しました。売り手側の顧問税理士・弁護士と、買い手側の専門家チームの間に入り、論点の優先順位と日程を調整。売り手の業務負荷が集中しないよう、資料提供のスケジュールをこちらで設計しました。
SPAの論点整理
- DD結果をもとに最終契約書(SPA)の論点を整理。表明保証の補償上限と期間、クローバック条項の有無、アーンアウト(業績連動対価)の設計——株式譲渡ならではの条件項目を、双方にとって公平な落としどころに着地させるため、ミライアが両社の間で翻訳役を担いました。
クロージング立会いと引き渡し
- 最終契約締結・株式の移転・対価の決済を、ミライアが同席のもと完了。引き渡しが完了するまで隣にいる——これが私たちの変わらないスタンスです。その後、スムーズな引き継ぎを経て、株式会社BのコンテンツマーケティングにSEOコンサルティングを組み込んだ統合提案の提供が開始。約3ヶ月後には、SEO戦略の立案からコンテンツ制作・効果測定まで一気通貫で担う新体制での正式稼働が始まりました。
結び
SEOコンサルティング × コンテンツマーケティングという組み合わせは、「技術と制作、異なる専門性を持つ二社」に見えるかもしれません。けれど、両社が共通して向き合っていたのは「顧客のコンテンツが、検索エンジンにも読者にも正当に評価されること」でした。どれだけ良いコンテンツも、検索で見つけてもらえなければ届かない。どれだけSEOで上位表示されても、読者の心に刺さらなければ成果は生まれない。その両方を一社で担える体制が、今回のM&Aで初めて実現しました。
株式譲渡という形態は、雇用・待遇・雇用契約をそのまま引き継げる一方、法人格ごと移転するため、デューデリジェンスの深度や表明保証の設計が成否を分けます。ミライアはそのプロセス全体を、両社が安心して進められるように設計し、実行していきます。

波江田 茂生
株式会社ミライア代表取締役CEO。 スタートアップ企業にて複数の新規事業の立ち上げ、マーケティング、システム構築などを経験。株式会社マイナビにて、大手企業向けの採用コンサルティングおよびメンバーのマネジメントに従事し、最速で課長に昇進、年間MVPを受賞。その後、株式会社マイナビM&Aの立ち上げ責任者として、2年間で個人売上3億円・メンバー30名規模まで事業を拡大。これらの経験を経て、株式会社ミライアを創業し、代表取締役に就任。
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