営業が属人的で案件獲得が不安定なYouTube運用会社が、
採用支援会社の全国顧客基盤を活用し、
案件供給を安定させた、成長戦略型M&A

YouTube運用会社の「次の打ち手」を、成長戦略型M&Aで実現した1件。
メール送付からクロージング(SPA締結)まで、ミライアが伴走した全5フェーズの工程をご紹介します。

  • 読了時間約10分
  • 扱う業界Web / 人材
  • 扱う業種YouTube運用 / 採用支援
  • 組織規模10人以下
  • 最終更新2026年7月

ミライアは「成長戦略型M&A」を軸に、売り手・買い手それぞれの”事業の続き”を、一緒に描いていく仕事をしています。本記事では、YouTube運用と採用支援という、「企業の魅力を求職者に届ける」という共通軸を持ちながらも異なるケイパビリティを持つ企業同士の株式譲渡を、ミライアのフローに沿って紐解きます。初回接触から成約までのプロセスを、各フェーズで実際に何を進めたのかを、モデルケースを通してご紹介します。

ミライアの強みは、4つに絞った対応領域への深い業界理解です。両者を組み合わせた時に”何が伸びるか”を、シナジー仮説として一緒に立てる。その仮説を軸に、候補のご提案から条件交渉までを、一貫してまとめていきます。

この記事のおすすめ読者

  • YouTube運用事業の案件獲得の安定化や営業体制の強化を模索している経営者の方
  • M&Aによって動画コンテンツ制作を内製化し、採用支援をより包括的に提供したいと考えている企業の経営層の方
  • 動画制作・運用力と採用支援力という異なるケイパビリティが、M&Aでどう統合されるかを知りたい方

ケース概要

本ケースは、企業YouTubeチャンネルの企画・撮影・編集・運用を一貫して提供するYouTube運用会社と、採用コンサルティングや採用代行を全国で展開する採用支援会社による株式譲渡の事例です。動画制作・運用の実力は高いながらも営業体制が小規模で案件獲得が属人的になっていた売り手側と、多くの企業の採用活動を支援しながらも動画コンテンツ制作を内製化できていなかった買い手側——両社の課題が鏡合わせのように補完し合う形で、今回のM&Aは実現しました。

クライアント概要(架空・モデルケース)


譲渡企業(売り手)

  • 株式会社A / 従業員約10名 / YouTube運用事業を運営。
  • 企業YouTubeチャンネルの戦略設計・動画企画・撮影・編集・投稿・分析改善まで一貫して提供。

譲渡企業(売り手)課題感

  • YouTube運用の技術力とコンテンツ品質には自信があるが、営業体制が代表中心の属人的な構造になっている
  • 紹介案件に依存しており、安定した新規案件獲得が難しい状態が続いている
  • 組織的な営業力と顧客基盤を持つパートナーと組むことで、案件の安定供給と事業の成長軌道を実現したい

譲受企業(買い手)

  • 株式会社B / 従業員約310名 / 採用支援事業を全国展開。
  • 採用戦略の立案・求人広告運用・採用代行・面接設計まで幅広く支援し、多数の企業の採用活動を担う。

譲受企業(買い手)課題感

  • 採用支援の過程で企業YouTubeや採用動画の制作を求められるケースが増えているが、内製で対応できていない
  • 動画コンテンツの重要性が高まる中、外注では品質・納期・採用文脈との一致が担保しにくい
  • 動画制作・YouTube運用を内製化することで、採用ブランディングから動画活用まで一気通貫で提供したい

取引形態

  • 株式譲渡(株式会社Aの全株式を株式会社Bが取得)

ミライアの役割

  • 売り手・買い手双方のM&A仲介。初回打診から最終契約まで一貫して伴走。

プロセスの全体像

ミライアは5つのフェーズ群にまとめ、それぞれで何を行うかを設計しています。本ケースでは初回接触から成約まで約6ヶ月のプロセスとなりました。

本件の特徴は、シナジーの即効性と案件供給の安定化が同時に見込めた点です。株式会社Bが日々支援している採用企業は、そのままYouTube運用・採用動画制作の潜在顧客でもある——M&Aが成立した瞬間から、株式会社AのYouTube運用ノウハウを横展開できる顧客基盤が手に入るという構図の明確さが、6ヶ月という短期間での成約を後押ししました。

Phase 1. 接触・契約フェーズ

売り手・買い手 双方の想いと事業をじっくり伺い、思想の重なりを確認したうえで、アドバイザリー契約を結びます。

株式会社B(買い手)からの依頼
  • 今回のプロセスは、買い手である株式会社B側からのご相談を起点に始まりました。
  • 採用支援で310名規模まで成長してきた株式会社Bは、採用コンサルと採用代行に強みを持つ一方で、企業の採用活動における動画活用ニーズへの対応が課題になっていました。「採用YouTubeチャンネルを作りたい」「社員インタビュー動画を求人ページに載せたい」——そうした要望が顧客から増える中、外注では採用の文脈に沿った動画を作ることが難しく、品質や納期のコントロールも思うようにいかないケースが続いていました。「YouTube運用と採用動画制作を内製化し、採用ブランディングから動画活用まで一気通貫で提供できる体制を作りたい。M&Aで取り込むことが最も効果的と判断した」——それが今回の依頼の核心でした。
  • ミライアはこのご相談を受け、候補先の選定に着手。動画・採用領域への深い理解を元に、企業向けYouTube運用の実績・採用コンテンツへの理解度・制作品質・チームの安定性を軸に複数社をリストアップするなかで、株式会社Aが要件に合致すると判断し、打診へと進みました。
キックオフ・ヒアリング
  • 株式会社A代表との最初の対話は、財務数値の整理よりも前に始めました。「なぜ企業YouTubeの運用という事業を選んだのか」「動画を通じて企業と視聴者の間にどんな関係を作りたかったのか」「譲渡後もYouTubeの現場に関わり続けたいか」——代表が少人数のチームで積み上げてきたコンテンツ哲学とチームへの敬意を起点に、時間をかけて伺いました。ヒアリングの内容は「成長戦略シート」として整理し、後続のマッチングや条件交渉の場で、立ち戻れる土台として活用しました。
  • 買い手である株式会社B側からは、「採用支援の顧客に対して採用動画・YouTubeチャンネル運用をそのまま内製で提供できるチームを取り込みたい」というオーダーをすでに受けていました。そのため株式会社A代表のヒアリングでは、撮影・編集スキルや登録者数実績だけでなく、「このチームが採用という文脈でコンテンツを企画できるか」という視点を、最初の仕事と位置づけていました。
  • YouTube運用事業において、動画の技術力だけでなく、企業の魅力や社員のリアルな姿を求職者に伝えるコンテンツ設計力そのものが資産になります。売り手・買い手 双方の成長戦略が重なる部分を見つけることが、このフェーズでのミライアの役割でした。
候補先の選定
  • 成長戦略シートをもとに、株式会社B含めミライアの独自ネットワークから候補先を選定しました。「YouTube運用チームが加わることで、採用支援顧客に提供できる価値がどう広がるか」というシナジー仮説を軸に、単なる財務的な相性ではなく、採用コンテンツへの理解度・対応可能な動画ジャンルの幅・チーム文化の親和性を重視して複数社をご提案。
NDA・アドバイザリー契約の締結
  • 初回面談で代表の意向と方向性を確認したうえで、ミライアとのNDA・アドバイザリー契約を締結。着手金はいただかないまま、ここから本格的な伴走を開始します。

Phase 2. 事前準備フェーズ

売り手側の事業の価値を言語化し、買い手検討に必要な情報を、一緒に整えていきます。

企業価値の算定
  • DCF法・類似企業比較法・直近の取引事例を組み合わせ、株式価値のレンジを算定。YouTube運用事業の評価では、運用チャンネル数・顧客単価・リピート率・制作可能なコンテンツジャンルの幅・チームの制作キャパシティがキー項目になります。「営業体制が属人的で案件獲得が不安定だった」という売り手の課題は逆に、買い手の310名規模の採用支援顧客基盤に乗ることで安定した案件供給が実現し、売上が大幅に改善できるシナジーとして評価される要因にもなります。数字の前提はすべて代表と共有し、「買い手がどう見るか」を念頭に置いた価格レンジを共通認識にしました。
IM(インフォメーション・メモランダム)の作成
  • 買い手候補への開示資料(IM)は、ミライアが主導して作成。チームの制作スキル構成と対応可能なコンテンツジャンル、運用実績と主要クライアントの業種分布、売上構造とリピート率の推移、制作キャパシティと現状の稼働状況、リスク要因まで、YouTube運用事業の文脈で読める構成にしました。売り手側の日常業務を止めないよう、ドラフトをこちらから提示し、レビューを重ねる進め方で仕上げました。

Phase 3. 打診・初期検討フェーズ

買い手候補への打診と情報開示を、リスクを抑えながら、一歩ずつ進めます。

NDA・アドバイザリー締結と情報開示
  • 株式会社B側とのNDA(秘密保持契約)・アドバイザリー契約をミライアが締結。その後、IMを段階的に開示しました。運用中のチャンネル情報や顧客企業名は特に機密性が高いため、開示範囲と匿名化の判断は、売り手と毎回確認しながら進めました。
関心の確認とフィードバック整理
  • 株式会社B側の初期検討における論点——「YouTube運用チームの継続意向は買収後も維持されるか」「採用コンサルタントとYouTube運用チームが協働する際の業務フローはどう設計するか」「10名規模のチームで、310名規模の採用支援顧客からの動画制作需要に対応できるキャパシティがあるか」——を整理し、売り手側にフィードバック。双方の温度感を週次で確認しながら、検討の停滞を防ぎました。

Phase 4. 交渉・基本合意フェーズ

トップ面談で互いの意思を確かめ、条件交渉を経て、基本合意(LOI)まで進みます。

トップ面談のセッティングと同席
  • 両社の経営トップによる対面での面談を、ミライアがセッティング。当日はアジェンダを事前に共有し、ミライアも同席しました。価格交渉の前に、「YouTube運用事業が企業と視聴者の間に作ろうとしてきたコンテンツ体験」と「採用支援会社が求職者と企業のマッチングに実現したい変化」を語り合う時間を先に設けたことで、両代表の間に共通の文脈が生まれました。
条件交渉と論点整理
  • 株式譲渡特有の論点として、株式の評価額・譲渡対価の支払いスキーム(一括か分割か)に加え、表明保証の範囲、既存の雇用契約の引き継ぎ、YouTube運用チームの待遇水準の維持・代表の処遇と役割の継続——これらをフェーズごとにメモを起こし、両社が”同じ前提で”議論できる場を整えました。
  • 10名のクリエイティブチームが310名規模の採用支援会社に統合されることへの懸念は、双方が最も丁寧に向き合うべき論点でした。コンテンツの企画・制作における裁量の維持と、採用文脈に特化したコンテンツ制作への移行をどうバランスさせるか——「買収後も動画制作のクリエイティブ判断はチームに委ねる」という体制設計を買い手側が具体的に示したことが、合意形成をはやめる大きな手応えとなりました。
基本合意書(LOI)のドラフトと中間金
  • 条件がおおむね固まった段階で、ミライアが基本合意書(LOI)のドラフトを作成。独占交渉権が付与され、中間金のお支払いをしていただきました。

Phase 5. 最終合意・クロージングフェーズ

デューデリジェンス(DD)を経て最終契約書(SPA)を締結。引き渡しが完了するまで、隣にいます。

DDの調整と専門家連携
  • 財務・法務・事業の3軸でDDを実施。株式譲渡では法人格ごと引き受けるため、簿外債務・未払い残業代・運用中チャンネルに関する著作権処理の状況・過去制作物の権利帰属・顧客との契約条件等、YouTube運用事業特有のリスク確認に特に注力しました。売り手側の顧問税理士・弁護士と、買い手側の専門家チームの間に入り、論点の優先順位と日程を調整。売り手の業務負荷が集中しないよう、資料提供のスケジュールをこちらで設計しました。
SPAの論点整理
  • DD結果をもとに最終契約書(SPA)の論点を整理。表明保証の補償上限と期間、クローバック条項の有無、アーンアウト(業績連動対価)の設計——株式譲渡ならではの条件項目を、双方にとって公平な落としどころに着地させるため、ミライアが両社の間で翻訳役を担いました。
クロージング立会いと引き渡し
  • 最終契約締結・株式の移転・対価の決済を、ミライアが同席のもと完了。引き渡しが完了するまで隣にいる——これが私たちの変わらないスタンスです。その後、スムーズな引き継ぎを経て、株式会社Bの採用支援顧客へのYouTube運用・採用動画制作の統合提供が開始。約3ヶ月後には、採用ブランディングの設計から企業YouTubeチャンネルの運用まで一気通貫で担う新体制での正式稼働が始まりました。

結び

YouTube運用 × 採用支援という組み合わせは、「動画と採用、異なる専門領域の二社」に見えるかもしれません。けれど、両社が共通して向き合っていたのは「企業の魅力を、求職者に正直に・魅力的に届けること」でした。採用支援で磨いた企業理解と、YouTubeで培ったコンテンツ設計力——その両方が揃った時に、採用動画はただの広告ではなく、求職者の「ここで働きたい」という気持ちを引き出す体験になります。今回のM&Aは、その問いに対する、ひとつの具体的な答えでした。

株式譲渡という形態は、雇用・待遇・雇用契約をそのまま引き継げる一方、法人格ごと移転するため、デューデリジェンスの深度や表明保証の設計が成否を分けます。ミライアはそのプロセス全体を、両社が安心して進められるように設計し、実行していきます。

波江田 茂生

株式会社ミライア代表取締役CEO。 スタートアップ企業にて複数の新規事業の立ち上げ、マーケティング、システム構築などを経験。株式会社マイナビにて、大手企業向けの採用コンサルティングおよびメンバーのマネジメントに従事し、最速で課長に昇進、年間MVPを受賞。その後、株式会社マイナビM&Aの立ち上げ責任者として、2年間で個人売上3億円・メンバー30名規模まで事業を拡大。これらの経験を経て、株式会社ミライアを創業し、代表取締役に就任。

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