ミライアは「成長戦略型M&A」を軸に、売り手・買い手それぞれの”事業の続き”を、一緒に描いていく仕事をしています。
本記事では、システム受託開発事業を展開する企業と、ITコンサルティング事業を展開する企業による株式譲渡を、ミライアのフローに沿ってご紹介します。
ITコンサルティングとシステム開発。
同じIT領域でありながら、それぞれ異なるポジションで顧客を支援する両社が出会ったことで、構想策定から実装・運用までを一貫して提供できる体制が生まれました。
この記事のおすすめ読者
- 受託開発事業の成長戦略を模索している経営者の方
- 開発機能の内製化を検討しているITコンサルティング企業の方
- ITコンサルティング会社とシステム開発会社のM&Aシナジーを知りたい方
目次
ケース概要
本ケースは、システム受託開発会社とITコンサルティング会社による株式譲渡の事例です。
高い開発力とプライム案件比率を強みとしながらも、売上の波や単価交渉に課題を抱える売り手企業と、大手企業の経営層に入り込める一方で実装フェーズまで支援できない買い手企業。
双方の強みを掛け合わせることで、顧客に対する支援領域を大きく拡張することができました。
クライアント概要(架空・モデルケース)
譲渡企業(売り手)
- 株式会社A / 従業員約50名
システム受託開発事業を展開。 - 業務システムやWebシステムの受託開発を中心に、プライム案件比率の高い事業構造を持つ。
譲渡企業(売り手)課題感
- プロジェクト単位で売上の波が発生しやすい
- 開発フェーズからの参画が多く、価格競争に巻き込まれやすい
- 上流工程から案件に参画できる機会を増やしたい
- 継続的な顧客基盤を構築したい
譲受企業(買い手)
- 株式会社B / 従業員約100名
ITコンサルティング事業を展開。 - 大手企業を中心にDX戦略立案や業務改革支援を提供している。
譲受企業(買い手)課題感
- 構想策定後のシステム開発を外部ベンダーへ委託している
- 開発品質や納期をコントロールしづらい
- 顧客から開発まで一括支援を求められるケースが増加している
- 競合コンサルとの差別化を図りたい
取引形態
- 株式譲渡(株式会社Aの全株式を株式会社Bが取得)
ミライアの役割
- 売り手・買い手双方のM&A仲介。初回打診から最終契約まで一貫して伴走。
プロセスの全体像
本件では初回接触から成約まで約7ヶ月のプロセスとなりました。
今回の特徴は、顧客接点を持つ上流機能と、実装を担う下流機能が統合されたことにあります。
株式会社Bは大手企業の経営層との接点を持ち、DX構想やIT戦略の策定を支援していました。
一方、株式会社Aは高い開発力を持ちながらも、開発フェーズから参画するケースが多く、案件獲得の主導権を握りにくい状況にありました。
両社が統合することで、「戦略立案→要件定義→開発→運用」までをワンストップで支援できる体制が実現できると考えられました。
Phase1. 接触・契約フェーズ
株式会社B(買い手)からの依頼
- 今回のプロセスは、買い手である株式会社Bからの相談を起点に始まりました。
- 同社は大手企業向けITコンサルティング事業を展開していましたが、顧客からは近年、
「構想だけではなく実行まで支援してほしい」 - という要望が増加していました。
- コンサルティングの提案が採用されても、開発フェーズになると別ベンダーへ案件が流れてしまうケースも少なくありませんでした。
- そのため株式会社Bは、開発機能を獲得することで顧客支援の範囲を広げたいと考えていました。
キックオフ・ヒアリング
- 株式会社A代表へのヒアリングでは、
「どのような案件が強みなのか」
「なぜプライム案件を獲得できているのか」
「どのタイミングで価格競争に巻き込まれるのか」 - を中心に確認しました。
- その結果、顧客満足度は高い一方で、案件の入口を握れていないため価格決定権を持ちづらいことが課題として浮かび上がりました。
候補先マッチング
- ミライアは、
大手顧客基盤
上流工程への強み
開発事業への理解
を重視して候補企業を選定。
NDA・アドバイザリー契約締結
- 双方の方向性を確認後、アドバイザリー契約を締結しました。
Phase2. 事前準備フェーズ
企業価値の算定
- 株式会社Aの評価では、
プライム案件比率
継続顧客比率
エンジニア定着率
主要顧客との取引年数
を重視しました。 - 特に買い手側は、将来的なクロスセル効果を高く評価していました。
IM作成
- 開発実績
主要プロジェクト
技術スタック
組織体制
顧客構成
などを整理し、開発会社としての競争優位性を可視化しました。
Phase3. 打診・初期検討フェーズ
情報開示
- NDA締結後にIMを共有。
- 主要顧客との取引状況や案件継続率などを中心に開示を進めました。
関心の確認とフィードバック整理
- 買い手側からは、
「キーパーソン依存度はどの程度か」
「プロジェクトマネジメント体制は整備されているか」
「大規模案件への対応力はあるか」
などの論点が提示されました。 - ミライアは双方の認識を整理しながら検討を進めました。
Phase4. 交渉・基本合意フェーズ
トップ面談のセッティングと同席
- 両社代表による面談では、
「顧客に最後まで伴走できる会社をつくりたい」
という共通の想いが確認されました。
条件交渉と論点整理
- 主な論点は、
株式価値
代表者の継続関与
組織統合方針
営業連携体制
ブランド運営
でした。 - 特に営業体制の統合によるクロスセル戦略が重要なテーマとなりました。
基本合意書(LOI)締結
- 条件整理後、基本合意書を締結。
- 独占交渉期間へ進みました。
Phase5. 最終合意・クロージングフェーズ
DDの調整と専門家連携
- 財務・法務・事業DDを実施。
- 案件収益性や契約継続性、エンジニア体制について重点的に確認しました。
SPAの論点整理
- 表明保証
競業避止義務
キーパーソン条項
などを整理し、最終契約書を締結しました。
クロージング立会いと引き渡し
- 株式移転および決済を完了。
- その後、株式会社Bのコンサルティングチームと株式会社Aの開発チームが連携し、大手企業向け案件において戦略立案からシステム実装までを一気通貫で支援する体制が始動しました。
- 約1年後には、従来外部へ発注していた開発案件の多くをグループ内で完結できるようになり、顧客単価・継続率ともに向上。両社が描いていたシナジーが現実のものとなりました。
結び
ITコンサルティングとシステム開発。
それぞれ異なる役割を担う両社ですが、目指していたのは同じでした。
「顧客の経営課題を解決すること。」
上流工程を担う株式会社Bと、高品質な開発力を持つ株式会社A。
両社が統合したことで、構想だけでも、開発だけでもない、本当の意味での伴走支援が可能になりました。
今回のM&Aは、単なる機能補完ではなく、顧客への提供価値そのものを進化させる成長戦略型M&Aとなりました。
ミライアは今後も、企業同士の強みを掛け合わせることで生まれる新たな価値創造を支援していきます。
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